海水浴のあとに耳が痛い・かゆい!外耳炎の原因と受診の目安

こんにちは。
入谷耳鼻咽喉科の副院長の入谷啓介です。
夏は、海水浴やプールを楽しむ機会が増える季節です。神戸市垂水区は海が身近にあり、舞子周辺や須磨・明石方面へ、ご家族で出かける方も多いのではないでしょうか。
海やプールから帰ったあとに、
「耳の中がかゆい」
「耳を触ると痛い」
「耳に水が残っている感じがする」
「耳が詰まって聞こえにくい」
といった症状が出ることがあります。
その原因の一つが「外耳炎」です。
軽いかゆみだからと綿棒や耳かきで触り続けると、かえって炎症を悪化させてしまうことがあります。
今回は、海水浴後に起こりやすい外耳炎の原因、自宅での注意点、耳鼻咽喉科を受診する目安について解説します。
〇外耳炎とは?
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜の手前まで続く「外耳道」の皮膚に炎症が起こる病気です。
外耳道の皮膚はとても薄く、耳かきや綿棒、爪などによる少しの刺激でも傷つくことがあります。傷ついた部分に細菌や真菌、いわゆるカビが入り込むと、かゆみや痛み、腫れ、耳だれなどの症状が現れます。
海水浴やプールのあとに起こる外耳炎は、「スイマーズイヤー」と呼ばれることもあります。
耳の中に水分が残ると、外耳道の皮膚がふやけて傷つきやすくなり、菌が増えやすい環境になります。特に、耳かきなどですでに小さな傷ができている状態では、外耳炎を起こしやすくなります。
ただし、耳に水が入っただけで必ず外耳炎になるわけではありません。
水が入ったあとに綿棒を奥まで入れたり、耳かきで何度もこすったりすることが、外耳炎を引き起こすきっかけになります。
〇こんな症状は外耳炎かもしれません
外耳炎では、次のような症状がみられます。
・耳の中がかゆい
・耳の入り口や耳の穴が痛い
・耳たぶを引っ張ると痛い
・耳の入り口を押すと痛い
・耳だれや嫌なにおいがある
・耳が詰まった感じがする
・音が聞こえにくい
外耳炎の特徴の一つが、耳たぶを引っ張ったときや、耳の穴の手前にある出っ張りを押したときに痛みが強くなることです。
初めは軽いかゆみだけでも、耳を触り続けることで皮膚の傷が広がり、強い痛みに変わることがあります。外耳道が腫れて狭くなると、耳が詰まった感じや聞こえにくさが出ることもあります。
お子さんの場合は、症状をうまく説明できないことがあります。
耳を頻繁に触る、機嫌が悪い、耳を触られるのを嫌がる、夜に痛がって眠れないといった様子がある場合は、耳のトラブルを疑いましょう。
〇海水浴後に耳が気になるときの対処法
耳に水が入ったと感じたときは、まず水が入った側の耳を下に傾けてみましょう。
耳の周囲や入り口に出てきた水分を、清潔なタオルでやさしく拭き取ります。耳の入り口まで拭けば十分です。
「水を取らなければ」と思って、綿棒や耳かきを奥まで入れるのは避けてください。
水分でふやけた外耳道の皮膚は、普段より傷つきやすい状態です。綿棒で何度もこすると、外耳炎を起こしたり、すでにある炎症を悪化させたりします。
指や爪で耳の中をかくことも控えましょう。
また、自己判断で消毒液や市販の点耳薬を耳に入れることはおすすめできません。鼓膜に穴が開いている場合や、中耳炎が隠れている場合には、使用できない点耳薬もあるためです。
症状がある間は、イヤホンや耳栓の長時間使用も控え、できるだけ耳を触らず、乾燥した状態に保ちましょう。水泳後は耳を乾いた状態に保ち、耳の中に物を入れないことが、外耳炎の予防として大切です。
〇どのくらいなら様子を見てもよい?
海水浴後に耳が少しこもっているだけで、痛み、かゆみ、耳だれ、聞こえの低下がなく、短時間で改善する場合は、耳を触らずに様子を見られることもあります。
一方で、次のような場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
・痛みやかゆみが翌日になっても続く
・症状がだんだん強くなっている
・耳たぶを引っ張ると痛い
・耳の入り口を押すと痛い
・耳だれや出血がある
・耳から嫌なにおいがする
・耳が詰まって聞こえにくい
・夜に眠れないほど痛い
・発熱や耳の周囲の腫れがある
・同じ症状を何度も繰り返している
特に、痛みが強い場合や、耳だれ、聞こえにくさがある場合は、早めに受診しましょう。
糖尿病がある方、免疫力が低下する治療を受けている方、ご高齢の方は、外耳炎が重症化することがあります。耳の周囲まで赤く腫れている場合や、強い痛みが続く場合には、早めの診察が必要です。
〇海水浴後の耳の痛みは外耳炎とは限りません
海水浴後の耳の痛みが、すべて外耳炎とは限りません。
例えば、次のような原因も考えられます。
・耳垢が水を吸って膨らんでいる
・中耳炎を起こしている
・鼓膜に傷がついている
・耳の中に異物が入っている
・飛び込みや潜水で耳に圧力がかかった
水が入って耳垢が膨らむと、急に耳が詰まったように感じたり、聞こえにくくなったりすることがあります。
ご自宅で耳垢を取ろうとすると、奥へ押し込んだり、外耳道や鼓膜を傷つけたりする可能性があります。水が抜けない感じや耳の詰まりが続くときは、無理に触らず、耳鼻咽喉科で確認してもらいましょう。
〇耳鼻咽喉科ではどのような治療をする?
耳鼻咽喉科では、耳の中を観察し、外耳道の傷や腫れ、耳だれ、耳垢、鼓膜の状態を確認します。
必要に応じて耳の中を清掃し、炎症の程度や原因に合わせて、点耳薬や軟膏などで治療します。
腫れや感染が強い場合には、内服薬が必要になることもあります。また、真菌が原因の場合には、一般的な細菌性の外耳炎とは異なる治療が必要です。
治療中は、海水浴やプール、耳かきなどを控え、耳をできるだけ濡らさないようにします。
少し症状が良くなったからと耳掃除を再開すると、再び悪化することがあります。医師から指示された期間は、耳を触らないようにしましょう。
〇海やプールのあとは「耳掃除をしすぎない」ことが大切です
外耳炎を防ぐために大切なのは、耳の中を触りすぎないことです。
耳垢には、外耳道の皮膚を保護する役割があります。毎日きれいにしようとして耳掃除を続けると、必要な耳垢まで取り除き、皮膚を傷つけてしまうことがあります。
海水浴やプールのあとも、タオルで耳の周囲と入り口を拭く程度にし、綿棒を奥まで入れないようにしましょう。
耳垢が気になる場合や、水が抜けない感じが続く場合は、ご自宅で無理に取らず、耳鼻咽喉科で確認してもらうと安心です。
入谷耳鼻咽喉科では、お子さんから大人の方まで、耳の痛み、かゆみ、耳だれ、聞こえにくさなどの診療を行っています。
海水浴やプールのあとに耳の症状が出た方は、我慢して耳を触り続けず、お早めにご相談ください。

