夏に多い子どもの喉の痛み・発熱〜代表的な夏風邪と耳鼻科受診の目安〜

みなさま、こんにちは。入谷耳鼻咽喉科の副院長の入谷啓介です。
梅雨が明け、本格的な夏がやってきましたね。照りつけるような日差しの中、プール遊びや夏祭りなど、子どもたちにとっては楽しいイベントが盛りだくさんの季節です。
しかし、この時期になると当クリニックの待合室では、喉の痛みや突然の高熱、鼻水といった症状で来院されるお子さんの姿が目立つようになります。実は、夏は冬と同じくらい「風邪」が流行しやすい季節なのです。
今回は、夏に多く見られる子どもの喉の痛みや発熱の原因となる「夏風邪」について、そしてどのような時に耳鼻咽喉科を受診すべきかの目安についてお話ししたいと思います。
〇冬の風邪とどう違う?夏風邪の特徴
風邪と聞くと、寒くて乾燥した冬の季節をイメージされる方が多いかもしれません。冬の風邪は「コロナウイルス」や「インフルエンザウイルス」など、低温で乾燥した環境を好むウイルスが主な原因です。
一方、夏風邪を引き起こすのは、「エンテロウイルス」や「アデノウイルス」といった、高温で多湿な環境を好むウイルスです。これらのウイルスは、お腹の調子を崩したり、喉の奥に強い炎症を起こしたりするのが特徴です。
代表的な夏風邪には、主に以下の3つがあります。
1. ヘルパンギーナ
突然の39度近い高熱と、喉の奥にできる小さな水ぶくれが特徴です。この水ぶくれが破れると強い痛みを伴うため、お子さんが食事や水分をとるのを嫌がるようになります。
2. 手足口病(てあしくちびょう)
その名の通り、手のひら、足の裏、そして口の中に発疹や水ぶくれができる病気です。熱はそれほど高くならないことが多いですが、口の中の痛みが原因で不機嫌になるお子さんが少なくありません。
3. プール熱(咽頭結膜熱:いんとうけつまくねつ)
アデノウイルスというウイルスが原因で起こります。39度前後の高熱、喉の強い痛み、そして目の充血(結膜炎)が三大症状です。かつてはプールの水を介して感染することが多かったため、この名前が付けられました。
〇ご家庭でできるケアと注意点
夏風邪にかかってしまった場合、残念ながらウイルスそのものをやっつける特効薬はありません。ご自身の免疫力でウイルスを退治するのを待つ「対症療法(症状を和らげる治療)」が基本となります。
ご家庭でのケアで最も大切なのは「水分補給」です。夏の暑さでただでさえ汗をかきやすい上に、発熱で体内の水分が失われます。喉が痛くて一度にたくさん飲めない場合は、スプーン1杯の水分をこまめに(5〜10分おきに)口に運んであげるなど、根気よく水分を与えてください。
おしっこの量が極端に減っていたり、泣いても涙が出なかったり、ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い場合は、脱水症状のサインです。このような時は、昼夜を問わず早急に医療機関を受診してください。
〇なぜ耳鼻咽喉科?受診の目安と中耳炎のリスク
「風邪をひいたら小児科」と考える親御さんは多いと思います。もちろん小児科でもしっかりと診ていただけますが、「耳・鼻・喉」の専門家である耳鼻咽喉科を受診するメリットもたくさんあります。
まず、耳鼻咽喉科では専用の器具を使って、鼻の奥や喉の奥深く、そして耳の鼓膜の状態まで直接明るく照らして観察することができます。これにより、喉の炎症の程度を正確に把握し、痛みを和らげるお薬を直接塗ったり、吸引器を使って奥に溜まったドロドロの鼻水をスッキリと吸い取ったりする処置が可能です。鼻水を取り除くだけで、夜の寝苦しさが劇的に改善することもよくあります。
さらに気をつけたいのが「急性中耳炎」の合併です。
子どもは耳と鼻をつなぐ管(耳管)が太く短いため、鼻水の中にいるウイルスや細菌が簡単に耳の奥(中耳)へと流れ込んでしまいます。夏風邪で鼻水が長引いている場合、気づかないうちに中耳炎を併発していることが非常に多いのです。
以下のような症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科をご受診ください。
・耳を痛がる、しきりに耳を触る
・鼻水が黄色や緑色でネバネバしている、数日以上続いている
・熱が下がったのに、夜泣きや不機嫌が続いている
・何度呼びかけても返事をしない(聞こえにくくなっている可能性)
・喉の痛みが強すぎて、水分が半日以上全く取れない
〇最後に
子どもの突然の発熱や体調不良は、親御さんにとっても看病で体力や精神力を削られる大変な出来事です。私たち入谷耳鼻咽喉科のスタッフは、病気の治療はもちろんですが、頑張って看病されているご家族の不安を少しでも軽くするお手伝いができればと願っています。
「ただの風邪かもしれないけれど、耳やお鼻の状態が心配」「喉が赤くないか診てほしい」といったちょっとした疑問や不安でも構いません。どうぞ遠慮なく、いつでもお気軽にご相談にいらしてください。
子どもたちが健康で元気いっぱいに、素晴らしい夏の思い出を作れるよう、私たち地域のクリニックもしっかりとサポートさせていただきます。まだまだ暑い日が続きますので、ご家族の皆さまもどうぞお体を大切にお過ごしください。

