副院長ブログ

学校健診で耳鼻科受診をすすめられたら?放置しやすい鼻炎・中耳炎・耳あかについて

こんにちは。入谷耳鼻咽喉科の副院長の入谷啓介です。

季節が移り変わり、お子様が学校から「健康診断の結果」を持ち帰ってくる時期ですね。もしその中に「耳鼻咽喉科の受診をおすすめします」というお知らせ(受診のすすめ)が入っていたら、皆様はどうされていますか?

「特に痛がっていないし、機嫌も良いからまあいいか」
「忙しくて病院に連れて行く時間が取れない」

そんな風に、引き出しの奥に紙をしまってしまいたくなるお気持ち、とてもよくわかります。しかし、子どもは大人と違い、自分から「聞こえにくい」「鼻が苦しい」とSOSを出すのがあまり得意ではありません。

今回は、学校健診の意味と、特に放置してしまいがちな「3つの耳鼻科トラブル」について、副院長の視点からお話しさせていただきます。

〇学校健診の目的は「病気の発見」ではなく「ふるい分け」です

まず知っておいていただきたいのは、学校での健診は「病気を確定診断する場」ではないということです。限られた時間と設備の中で大勢の児童を診るため、少しでも疑わしい所見があれば「専門医でしっかりと確認してもらうためのサイン」として受診をすすめます。

ですから、健診の紙をもらったからといって、必ずしも重病が隠れているわけではありません。過度に心配する必要はありませんが、「異常なし」を確認するためにも、一度は受診していただくことが大切です。自己判断で放置してしまうと、お子さんの学習や日常生活に思わぬ影響が出ることがあります。

〇健診で指摘されやすい「3つの症状」

ここでは、健診で指摘されることが多いものの、ご家庭で様子を見られがちな3つの症状について解説します。

1. アレルギー性鼻炎(鼻水・鼻づまり)
「ただの鼻水だから」「いつも出ているから」と甘く見てはいけません。慢性的な鼻づまりは、口呼吸を引き起こします。口呼吸が続くと、睡眠の質が低下し、日中の集中力低下やイライラにつながることもあります。「最近、授業に集中できていないみたい」「落ち着きがない」といったお悩みの原因が、実は鼻炎でぐっすり眠れていなかったから、というケースは少なくありません。また、長期的な口呼吸は、将来の歯並びにも影響を与えると言われています。

2. 中耳炎(特に「滲出性中耳炎」)
中耳炎と聞くと、「耳を痛がって激しく泣く」というイメージ(急性中耳炎)があるかもしれません。しかし、健診でよく見つかる「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」という種類は、鼓膜の奥に液体が溜まるだけで、痛みを伴わないことがほとんどです。
そのため、お子さん自身も気づかず、健診で初めて「少し聞こえが悪くなっている」と指摘されて発覚します。この中耳炎は風邪や鼻炎が長引くことで起こりやすく、放置すると難聴が長引いたり、言葉の発達に影響したりする恐れがあるため、早めのケアが必要です。

3. 耳垢栓塞(耳あかの詰まり)
「耳あかを取るためだけに病院に行ってもいいのでしょうか?」と、申し訳なさそうに受診される親御さんがいらっしゃいますが、全く恥ずかしいことではありません!
子どもの耳の穴は細くデリケートです。ご家庭での耳かきは、かえって耳あかを奥に押し込んでしまったり、動いた拍子に鼓膜を傷つけたりする危険があります。耳あかが完全に詰まってしまう「耳垢栓塞(じこうせんそく)」になると、難聴の原因になります。耳あか掃除は立派な医療行為ですので、ぜひ私たちプロにお任せください。専用の器具を使って、安全かつ痛みなくスッキリと取り除くことができます。

診察室からのエピソード:聞こえるようになると、笑顔が増える
日々の診療の中で、こんなことがありました。健診の紙を持ってやってきた小学校低学年の男の子。ご両親は「特に聞こえにくそうにはしていないのですが…」と不思議そうでした。

しかし診察してみると、両耳の奥にびっしりと耳あかが詰まり、さらにその奥で軽い滲出性中耳炎を起こしていました。器具を使って耳あかを綺麗に取り除き、鼻の治療をして耳の風通しを良くした瞬間、その子はパッと目を輝かせて、「先生、お母さんの声がすごく大きく聞こえる!」と驚いて笑ったのです。

また、治療を終えたお母様から後日、「テレビの音量が下がり、学校でも先生の話をよく聞けるようになったと褒められました」という嬉しいご報告をいただいたこともあります。

耳や鼻のトラブルを解消することは、ただ病気を治すだけでなく、子どもたちの「学び」や「コミュニケーション」の質を向上させることに直結しているのだと、私は日々の診療を通して実感しています。

最後に

「学校健診の紙をもらったけれど、どうしよう」と迷われている方は、ぜひその用紙をお持ちになって、入谷耳鼻咽喉科へお気軽にお越しください。

「耳鼻科=痛いことをされる」と怖がってしまうお子さんもいらっしゃると思います。当院では、お子さんのペースに合わせて、何をどうするのか優しく声をかけながら診察を進めますので、どうぞご安心くださいね。

これからも、地域の皆様の「みみ・はな・のど」の健康を守り、お子さんたちの健やかな成長をサポートする存在でありたいと願っています。何か気になることがあれば、いつでもご相談ください。

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