副院長ブログ

イヤホン難聴(スマホ難聴)を防ぐ3つのルール

こんにちは。入谷耳鼻咽喉科 副院長の入谷啓介です。

日々の診察の中で、最近特に気になっていることがあります。それは、お子さんから現役世代の方まで、老若男女問わず「イヤホン」を使用する時間が劇的に増えていることです。通勤・通学中、仕事中、あるいは自宅でのリラックスタイム。スマートフォン一つで動画や音楽を楽しめる現代において、イヤホンはもはや体の一部のような存在かもしれません。

しかし、その便利さの裏側で、静かに、そして確実に進行するのが「イヤホン難聴(スマホ難聴)」です。

今回は、耳鼻科医としての視点と、私自身の日常での気づきを交えながら、一生モノの大切な聴力を守るための「3つのルール」についてお話ししたいと思います。

忍び寄る「イヤホン難聴」の正体とは?

そもそも「イヤホン難聴」とは何でしょうか。医学的には「騒音性難聴」の一種に分類されます。

私たちの耳の奥(内耳)には、音の振動を電気信号に変えて脳に伝える「有毛細胞(ゆうもうさいぼう)」という、非常に繊細な細胞が並んでいます。この細胞がいわば「音のセンサー」の役割を果たしているのですが、大きな音に長時間さらされると、このセンサーがダメージを受けて壊れてしまうのです。

恐ろしいのは、「有毛細胞は一度壊れると、二度と再生しない」という点です。

多くの場合、難聴は少しずつ進行するため、自分ではなかなか気づけません。「最近、テレビの音が大きいと言われる」「会話中に聞き返すことが増えた」と気づいた時には、すでに症状が進んでいることも少なくないのです。

聴力を守るための「3つの黄金ルール」
では、どのようにしてイヤホンと付き合えばよいのでしょうか。WHO(世界保健機関)などの指針を参考に、今日から実践できる3つのルールをご紹介します。

1. 「60・60ルール」を意識する

一つ目は、音量と時間のルールです。世界的に推奨されているのが「最大音量の60%以下で、1日合計60分以内」という目安です。

最近のスマートフォンには、設定画面で「大きな音を抑える」機能や、自分がどのくらいの音量で聴いているかを可視化できる機能があります。一度、ご自身の普段の音量を確認してみてください。「意外と大きな音で聴いていたんだな」と驚かれるかもしれません。

2. 耳にも「休憩時間」をプレゼントする

耳も体の一部ですから、使い続ければ疲れます。1時間イヤホンを使ったら、少なくとも10分〜15分はイヤホンを外し、静かな環境で耳を休ませてあげてください。

私はよく患者さんに「耳にも深呼吸をさせてあげましょう」とお伝えしています。連続して音の刺激を与えないことが、有毛細胞の消耗を防ぐ最大の防御策になります。

3. ノイズキャンセリング機能を賢く使う

「周りがうるさいから、つい音量を上げてしまう」という経験はありませんか? 電車内やカフェなどで周囲の騒音に負けないように音量を上げる行為が、実は最も耳に負担をかけます。

そこでおすすめなのが、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンです。周囲の雑音を打ち消してくれるため、小さな音量でも十分に音を聞き取ることができます。初期投資は少し高いかもしれませんが、将来の聴力を守るための「先行投資」と考えると、非常に価値のある選択だと言えるでしょう。

私自身も、日常の中でイヤホンは使いますが、必ず「耳が詰まった感じがしないか」「周りの話し声が自然に聞こえる音量か」をチェックするようにしています。ちょっとした意識の差が、10年後、20年後の聞こえ方を左右するのです。

最後に:こんな症状があれば受診を

「自分は大丈夫」と思っていても、以下のようなサインがあれば注意が必要です。

耳の中に膜が張ったような「閉塞感」がある

〇高い音の耳鳴りが続く

〇周りが騒がしい場所だと、会話が聞き取れない

〇イヤホンを外した後、しばらく耳がぼーっとする

もし少しでも不安を感じたら、早めに当院へご相談ください。聴力検査は短時間で終わりますし、自分の現在の聞こえ方を客観的に知ることは、安心にもつながります。

皆様が、いつまでも家族との会話や、美しい音楽を健やかな耳で楽しめるよう、私たちはこれからも全力でサポートさせていただきます。

入谷耳鼻咽喉科

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